わたし達の中に 生命があふれてる

犬好きで重なる勇気は最強なんだから

カフカ『変身』はみぃんな虫になるのです

f:id:ChaldeaGecko:20200716075301p:plain

ナボコフが『文学講義』で取り上げた、カフカ『変身』のIan Johnstonによる英訳の最後なのです。

While they amused themselves in this way, it struck Mr. and Mrs. Samsa almost at the same moment how their daughter, who was getting more animated all the time, had blossomed recently, in spite of all the troubles which had made her cheeks pale, into a beautiful and voluptuous young woman. Growing more silent and almost unconsciously understanding each other in their glances, they thought that the time was now at hand to seek out a good honest man for her. And it was (something of a confirmation of their new dreams) and (good intentions when at the end of their journey the daughter first lifted herself up and stretched her young body).

〇ビっちが訳したのです。

こんな感じで楽しく話をしていたが、ザムザ夫妻はほとんどいっしょに、娘がどんどん動くようになってとうとう花開き、頬を弱々しくしたあらゆる欠点にもかかわらず、美しく官能的な若い女性になるさまに釘付けになった。おしゃべりをやめ、おたがい目をやりほとんど無意識に合意して、娘によいお婿さんをすぐに見つけてやらねばと考えた。それは新しい夢を確固たるものにすべく大事なことであり、旅の終止符として、まずは体を持ち上げ若々しい胴体を伸ばす彼女への思いやりの意向でもあった

グレゴールの妹がきれいなちょうちょになったのです。サナギがもぞもぞ動いて背中が割れ、ちょうちょがでてきたのです。頬が弱々しいというのは、口が細い管になっていることをいっているのです。虫の世界だからアゴが強いのがいいのです。最後の文は赤字のように、it was A and Bになっているのです。みぃんなここを間違えているのです。新しい夢とは孫のことなのです。意味はきわめて明快で、羽化の描写はたいへんリアルなのです。

こんな話をしているあいだに、ザムザ夫妻はだんだんと元気になっていく娘をながめながら、頬の色もあおざめたほどのあらゆる心労にもかかわらず、彼女が最近ではめっきりと美しくふくよかな娘になっていた、ということにほとんど同時に気づいたのだった。いよいよ無口になりながら、そしてほとんど無意識のうちに視線でたがいに相手の気持をわかり合いながら、りっぱなおむこさんを彼女のために探してやることを考えていた。目的地の停留場で娘がまっさきに立ち上がって、その若々しい身体をぐっとのばしたとき、老夫妻にはそれが自分たちの新しい夢と善意とを裏書きするもののように思われた。

青空文庫の原田義人訳なのです。はっきりいって意味不明なのです。 

 

ナボコフ『文学講義』では

Scene X: The last scene is superb in its ironic simplicity. The spring sunshine is with the Samsa family as they write their three letters—articulation, jointed legs, happy legs, three insects writing three letters—of excuse to their employers.

野島訳 

場面X--この最後の場面は、その皮肉な単純さにおいて秀逸だ。春の陽光がザムザ家の家族を照らしている、いま彼ら三人はそれぞれの雇い主に欠勤届の 手紙を三通書いている─ ─関節、節足、幸せな脚、三匹の昆虫が三通の手紙を書いている。

しっかり「三匹の昆虫」と書いてあるのです。野島氏は自分で訳していて気づかなかったのです。「その皮肉な単純さにおいて秀逸」なのは、ナボコフの解説のことだったのです。〇ビっちはここを読まずに取りかかったから苦労したのです。

 

しばしば暗い内容の作品と見なされるが、カフカはこの作品の原稿をマックス・ブロートらの前で朗読する際、絶えず笑いを漏らし、時には吹き出しながら読んでいたという。

だましているんだから笑いがこみ上げるのです。いかにもアスペなのです。『文学講義』で取り上げられている作家7人+ナボコフは、不明のスティーヴンソン以外は全員アスペ疑いなのです。

 

確かめたわけではないが、『変身』の登場人物はみぃんな虫だと思われるのです。グレゴールもサナギから成虫になっただけなのです。

He was the boss's minion, without backbone or intelligence.

というセンテンスもあるのです。