映画『HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターメモリーズ』の主人公の野乃はな(キュアエール)は、前の学校でいじめられていた。
海からモンスターが突然現れた。取材に来ていたテレビレポーターが居合わせていた。
レポーター:ええっ?
レポーター:あっ、カメラ回して!
レポーター:「大変です。海から突然巨大モンスターが」
レポーター:って、ええーっ!?
「カメラ回して!」というセリフがある。オープニングでもはなとえみるがはぐたんを激写している。カメラの働きを観客に意識させるためだろうか。
このモンスターはMAX HEARTの三人が倒す。その一部始終を見ているのが
ミデン:まぶしい…
ミデン:輝きがほしい…ほしい…
これは今回の敵役のミデン、のぞいているのはデジカメのファインダーやプリキュアのアイテムで、ここを通じて外の世界を見たり出入りする。
「輝き」はあとで「キラキラ(の思い出)」と言い換えられ、具体的には楽しい生活のこと。
こいつが三人の記憶を奪いに襲ってくる。
ルミナス:このテルテル坊主さん、ザケンナーじゃなさそうです!
ブラック:みたいね!
ホワイト:いったい何者なの?
ミデン:よこせ…よこせ…
ブラック:なんだか知らないけど、ほしいものがあるなら、襲ってきたりしないで、ちゃんとことばで言ってよね!
ホワイト:あれ?
ブラック:ウソ!話つうじる感じ?!
ルミナスがミデンを「テルテル坊主」だと言う。おばけのくせに妙にかわいい柄がついている。
ブラックが「ちゃんとことばで言ってよね!」と言うが、この映画は「ことばが通じない」ことがテーマになっている。
この時点ではミデンは手でつかんで投げたりメガ粒子砲を撃ったりして戦う。 ルミナスがふたりを身を挺して守って記憶を奪われる。この映画では、だれかを守るとはかばうこと。
さて、HUGキュアの面子がピクニックに来ています。はなとえみるははぐたんを激写している。カメラは楽しい生活を切り取る。
ここから主題歌。
はな:お世話を始めて、もう半年だもん
はな:最初はどうなることかと思ったけど、はぐたんのお世話もプリキュアも、みんなと一緒だからがんばれたんだよね
「みんなと一緒だから」は大事なセリフ。
ルールー:そういえばもともとは、はぐたんのような赤ちゃんだったのですよね
一同:えっ?
えみる:あたりまえなのです
ほまれ:ああ、そっかあ
ほまれ:ルールーはアンドロイドだから、赤ちゃんだったときがないんだ
ルールー:おそらく…
はな:じゃあ、赤ちゃんだったら、どんな感じだったのかなあ
さあや:ボルト!
はな:ボルト?
はな:ボルトって、こういうのだよねえ…
はな:あれかぁ
監督の名前がかぶさっているので、ボルトは大事なことがらです(本当)。
ボルトはさておき、ミデンがアイテムから出現し、はなたちを襲う。
ほまれ:な、なにあれ!
はな:テルテル坊主…?!
ミデン:ごきげんよう!
ミデン:あなたたちの記憶、ゲットだよ!
さあや:わたしたちの記憶!?
ほまれ:なんだかわからないけど、黙ってやられるわけにはいかないよね!
はな:ハリー、はぐたんをおねがい!
はなも「テルテル坊主」と言う、ミデンが襲ってきた。みんなは変身して戦ったが歯が立たない。なぜなら
はな:いまの…プリキュアの技だよね?!
ミデン:いったでしょ、記憶をもらうって
ミデン:プリキュア・ダイヤモンド・エターナル!!
ミデンはプリキュアの技を使える。合体技もこのとおり。
はぐたんを守るエールをみんなが守る。冒頭のルミナスのように覚悟して身を挺している。
ミデンにやられたみんながちっちゃくなってしまった。
エール:ありがとうみんな
エール:ん?みんな?
エール:あれ?え?
エール:ふえーーーーっ!
エール:みんながちっちゃくなっちゃったーーっ!!
ハリー:えらいこっちゃーーっ!!
エトワール:…だれ?
エール:えっ?わたしだよエール:キュアエール、はなだよ!
ハリー:覚えてへんのかいな…
エール:そんな…
エール:アンジュ、マシェリ、エトワール、アムール
エール:アムール?
エール:アムールはどこ?
ハリー:おい、あれ!
(ボルトが落ちている)
エール:ああーっ!アムール、なんて姿に!
この映画では「名前を呼ぶ」ことが大事なこととされており、要所で何度も相手の名前を呼ぶ。本名とプリキュアの名前を一緒に使うのは珍しい。
ミデンが襲ってきたのでみんなして 逃げる。ブラックとホワイトがかけつける。
ミデン:あらたに四人の記憶確保完了
ミデン:イケてんじゃん?
ミデン:あなたの記憶、もらうのです!
(ブラックとホワイトが参上、ミデンを蹴り飛ばす)
ブラック:だいじょうぶ!?キュアエール
エール:わたしは…でもみんなが
ホワイト:わかってる。とにかくいまは、この子たちを連れて逃げるのが先
ミデン:あーのー、逃げるって言いましたぁ?
エール:もーっ、しつこーい!
エール:アムール!
アムール:うん
エール:ありがとう
ハリー:アムールやないか!
エール:えええーっ、これじゃないのーっ?!
ホワイト:あっホワイト:あぶない!
ミデン:いただき!
エール:ブラック!
ブラック:ホワイト!
ホワイト:この子をお願い
なぎさ:あっ、ほのか!
エール:どぅりゃあああーっ!エール:みんな、しっかりつかまっててよ!
アムールにちっちゃかった頃はなかったとオープニングで本人が言っているから、このちっちゃいアムールはミデンが作り出したもの。他のプリキュアもおなじだろう。そもそもプリキュアは戦士だから幼児とは両立しない。
エールははぐたんとちっちゃいのを、ブラックはエールを、ホワイトはブラックを体でかばう。最終的にエールが抱えているのははぐたんとHUGキュア残り四人となぎさ、
ミデンは出てきたのとおなじところから帰っていった。
はぐたんはいい子にしていたが
エトワール:おばけいるとこなんていたくない
アンジュ:おかあさんどこ?
ほのか:わたし、帰りたい
(マシェリはしゃべれないが、暴れる)
はな:もうだいじょうぶだから、泣かないでぇ
なぎさ:ほーら、ほのかー、べろべろばぁー
ほのか:だめかぁ…
ミップル:どうしようミポ…
ミップル:ほのかが、ほのかが…
メップル:元気をだすメポ!
ミップルとメップルは幼児にひどい扱いを受け耐えかねて携帯に戻った。
はなが声を荒げてしまったので、ちっちゃい子がまた泣き出した。
はな:うう、なんてでこんなことに…
はな:なぎささん、さっきのテルテル坊主はなんなんですか?
なぎさ:あいつの名前は、ミデンっていうみたい。
ミップル:記憶を奪われたら、ちっちゃくなっちゃうみたいミポ~
なぎさ:ミデンの持ってたステンドグラス、あれが、奪われたみんなの記憶だと思うの
ハリー:はぁ、せやから、プリキュアの技、ぎょうさん使えたんやな
はな:なるほど…
はな:ちょっと待った!
はな:あんなたくさん持ってたってことははな:いま無事なプリキュアは!?
なぎさがいつミデンの名前を知ったのか直接は描いていないが、ルミナスがやられた直後に名乗った、もしくは聞き出したとしか考えられない。
ステンドグラスは記憶ではなく本体のようだから、なぎさの発言はミスリード。記憶だけで能力も奪わなければプリキュアの技は撃てないはず。
回想画面が緞帳になっている。これはいったんフィクションから離れて、つぎのシークエンスではなたちが子供に手を焼くのは現実のことだと考えてほしい、という演出だろうか。
ミデンが帰ったお城の中はこんな感じ。
ミデン:フンフン、フフンミデン:ただいまぁーっ!
ミデン:おかえりぃーっ!
ミデン:今日も記憶をたくさんゲットしたよ
ミデン:わたしの記憶がこんなに増えたね!ウルトラハッピー!
ミデン:ワクワクもんだあ
ミデン:絶好調ナリぃ
ミデン:ヒャッホー、ハハハ、ウワァーオ
ちっちゃいプリキュア:ほえ?
ちっちゃいプリキュア:こえなにー?
ステンドグラスを積み上げた部屋で、ミデンが一人二役の会話をしている。ミデンはちっちゃいプリキュアを自分のお城に用意した保育園に集めている。妙に大切にされている。ちっちゃいプリキュアが発見したのは透明な壁で、向こう側にちっちゃくなった観客が入るらしい。
東屋のはなたちが気を抜いたあいだにちっちやいのが脱走した。
はな:めちょっく!
はな:残ったプリキュアって、わたしとなぎささんだけなの!?
なぎさ:面目ない…
ハリー:とにかく、アンジュたちをはよもとに戻さな…
ふたり:うわあーーーーっ!!
はな:おーーーーーいっ
ほのか:ちゅうたろう…
なぎさ:似てるだけ!忠太郎じゃないの!
なぎさ:さあ、行こう。アンジュたち探さないと
なぎさ:ほのかぁ…
ハリー:おーい、かくれんぼは終わりやでー!
はぐたん:ちっちー!
ハリー:はぁーっ、おむつ換えたらんと
ハリー:ってアカン!荷物置いてきてしもたーっ
レポーター:まろやかー!
レポーター:牛乳の濃厚な味がサイコー!
アンジュ:あの、助けてください
アンジュ:わたし、追われてるんです
はな:マシェリぃ、そう靴を38回も投げなくてもいいと思うよ…
はな:うわ、いたー
アンジュ:薬師寺さあやです。おうちに帰りたいので、おかあさんに電話してください!
はな:あっはは、おいでー!
レポーター:えっ?あの子はお姉さんじゃないの?
アンジュ:知らない人…
はな:知ってます知ってます、全然知ってます!
アンジュ:おばけいるから帰りたいのに、帰してくれないんです!
レポーター:ぐるぐる回ってるぅー!
はな:なんで、こんなに、やさしそうな、はなお姉さんから逃げて
はな:知らない人に、助けを求めるかなあ…
アンジュ:だって
アンジュ:テレビの人はおかあさんのお仕事の人だもん
アンジュ:みんなおかあさんのお友だちだもん。
はな:はあ、ちっちゃいときの記憶は残ってるんだ
はな:あっ…
アイススケート場の係員:きみ、おとうさんかおかあさんは?
はな:はいはいはーい、わたしが保護者のお姉さんでーす
はな:お邪魔しましたーっ!
エトワール:いや、離して、おうち帰る!
はな:マシェリぃ、もしかしてお腹がすきましたかねえ
アンジュ:離して、離して!
エトワール:離してって言ってんじゃん!
はな:痛ったー!なにするのよー!もうーっ!静かにしてー!!
はな:…ゴメン…
マシェリ:びえええええええーーーーーーっ!!!
はな:ごめんねえ…
はな:ぐぬぬぬぬ
エトワールとアンジュが「離して!離して!」と言うのは、「話して」と掛けてある。マシュリはともかく他のちっちゃい子は話ができる歳だが、はなたちが話しかけた様子はない。
お城でミデンがひとりではしゃいでいたが…
ミデン:フンフフフーン♪
ミデン:つまんない…
ミデン:つまんないつまんないつまんなーーーい!!
ミデン:なんで、ボクの世界はこんなにもキラキラしたのにーーーっ!
ミデン:そっか
ミデン:キラっとひらめいた!
ミデンの一人称は「ワタシ」だったり「ボク」だったりするが、本来は男の子のようだ。
荷物を見つけたハリーのもとにはなとなぎさが集まる。
ハリー:はぁ、荷物残ってて助かったわー
ハリー:おー、はなー、こっちやこっちー!
はな:ああ、うう、はあ
ハリー:ふたりとも見つかったんやなー、ようやったでー
はな:それより、ミルクをお願い
ハリー:お、おう
はな:ほら、マシェリぃ
マシェリ:い…いやあああ!!
マシェリ:ママー、ママー
アンジュ:その子も帰りたいんだよ
エトワール:だって怖いもん、おばけも、お姉ちゃんも
はな:あう…
なぎさ:あーっ、はなちゃん見ーっけ!
はな:なぎささん…
なぎさ:よかったぁ、見つかったんだぁ
ほのか:わたし、おうち帰りたい
ほのか:帰って(??)
なぎさ:これじゃわたし、さらってきた人みたいじゃん
ハリー:また逃げるんかー!
はな:エトワール!
はな:さあや、マシェリを!
はな:ああ、うう
「名前を呼ぶ」「覚えている」「見つける」ことは、この映画ではとても大事なこと。「さあや、マシェリを!」と本名で呼びかけているのは、アンジュは自分がプリキュアであることを忘れているから。それまでのはなはちっちゃい子にとっては自分の名前を呼ばない知らないお姉ちゃんだった。
ハリー:あーもう泣くなやー!
アムール:これ…
はな:ありがとう…
はな:ああっ
はな:なんで…
はな:こんなことになっちゃったの…
はな:なんでみんな、わたしのこと忘れちゃったの…
はな:さあや、ほまれ、えみる、ルールー
はな:いっぱいっぱい一緒にいたのに、一緒にたくさんがんばって、一緒にたくさん笑ったのに
はな:わたしもみんなのこと、大好きなのに!
はな:うっ
はな:うわああああーーーっ
ハリー:なんや、プリキュアともあろうものが
ハリー:へこたれとる場合とちゃうやろ!
なぎさ:そんな言いかたやめて!
なぎさ:プリキュアっていったって、ただの中学生だよ
なぎさ:自分でどうすることもできないときには、だれだってそうなるに決まってるじゃない!
なぎさ:わたしだって、わたしだって…
ハリーとなぎさがまぎらわしくしているが、はなが泣いているのはへこたれているからでもみんながちっちゃくなったからでもなく、みんなが自分のことを忘れてしまったから。いじめられっ子だったはなは、友だちに無視されたり忘れられたりするのがなにより嫌。
はなが落としたデジカメからミデンが現れる。
ミデン:まだまだ記憶が足りないの
ミデン:あなたたちの記憶もゲットだよ!
ハリー:はな、なぎさ、逃げるんや!
ハリー:お前らまで赤ん坊にされたら終わりや!
はな:逃げるったって…
はな:みんなの記憶、取り戻さなきゃ!
ミデン:ハハハハハ
ミデン:ワタシを倒さないかぎり、記憶は永遠に戻らない
ミデン:このワタシは無敵なんだから
ミデン:えいっ
はな:みんな!
はな:あっ
なぎさ:くっ…
なぎさ:痛ったあ…
はな:なぎささん!
メップル:なにやってるメポ!
ミップル:なぎさはほのかと一緒じゃないと、変身できないミポ!
ほのか:そうだよ、だから取り返すの
なぎさ:わたし、ほのかがいないとダメだから
なぎさ:ほのかのことが、大好きだから!
なぎさ:はぁ、はぁ
なぎさ:わたし、覚えているから
なぎさ:たまたまおなじクラスになって、たまたまふたりでプリキュアに変身することになって!
なぎさ:ケンカしたこと、たこ焼き食べたこと、恋バナしたこと、ほのかが忘れても、わたしがぜんぶ覚えてるから!
ミデン:あらなぎさ、わたしも覚えているわ
ミデン:先生の結婚式行ったこと
なぎさ:ああっ?
ミデン:文化祭でロミオとジュリエットやったこと
ミデン:合唱コンクールのこと
ミデン:なぎさの靴下が、ひょっとしたら、ちょっとクサいかもってこと
なぎさ:くっ
なぎさ:でも、あんたはほのかじゃない
なぎさ:雪代ほのかは世界でひとり!
なぎさ:あんたに記憶奪われて、とまどってる、あの子が雪代ほのかなの!
なぎさ:絶対に、あきらめないんだから
なぎさ:返して!わたしのいちばん大事なひとを返して!
ミデン:ウヮーオ!うるさい
ほのか:きゃっ
ほのか:あっ…あっ…
ほのか:なぎさーーーーーっ!!
ハリー:これは!
ほのか:あっ…
なぎさ:ほのか?
ほのか:なぎさ?
なぎさ:あっ
ほのか:なぎさ…
なぎさ:ほのか…
ほのか:だいじょうぶ?もう、バカ(??)だから
なぎさ:だって…だって…
ほのか:ありがとう、(??)
なぎさ:でも、もうわたしがいるから
なぎさ:いっしょにひかりさんたちを取り戻しましょう
ほのか:あ…うん!
ここでもはなもなぎさも身を挺して守っている。はなには自分を見つけてくれる人(なぎさ)がいた。はなは自分のことを覚えていてくれる人が欲しかったが、なぎさはほのかのことが大事大好きで、自分が覚えている側だった。ミデンの名前を聞いたりと、なぎさはプリキュアとしてはとても優秀。
ミデンが逆襲される。
ミデン:う、うそだ…
ミデン:記憶が戻るなんて…
新郎新婦みたいなふたり。
はな:バカだ、わたし…
はな:忘れちゃってたのは、わたしのほうだよ
はな:みんなと出会って、ちょっとずつ仲良くなって
はな:どんどん増えた思い出は、ずっとここにあるのに
はな:わたしは、ひとりなんかじゃないに
はな:これしきのことで、心折れるとか
はな:なりたい、野乃はなじゃない!
はな:フレ!フレ!わたしー!!
はな:ごめんね、アンジュ、エトワール、マシェリ、アムール
はな:本当につらいのは、みんなのほうなのに
はな:待っててね。みんなのこと、わたしが絶対、元に戻すから!
この映画のはなは大事なことを忘れている。そのことを、ぜんぜん違う文脈にことばだけ置いてヒントにしたのが赤字のセリフ。
ミデンがボコられる。
エール:わたし、もう負けない!あなたにも!
エール:自分にも!
エール:キラキラ大切な思い出が、みんなが、わたしを支えてくれてる!
エール:だから、なにがあっても踏ん張れる!踏ん張ってみせる!
ミデン:うるさいうるさい!キラキラの記憶ならお前よりもっとたくさんあるんだ!
ミデン:食らえ!
「キラキラ大切な思い出が、みんなが、わたしを支えてくれてる」と「キラキラの記憶ならお前よりもっとたくさんあるんだ」を合わせると、「ミデンにはエールよりずっと支えがある」ということになる。しかしそれは事実ではなく、逆にミデンにはなんの支えもなく、そのことがミデンを行動に駆り立てている。
がんばっているエールを見たみんなが、ミラクルライトで復活し、ミデンを吹っ飛ばした。
エール:アンジュ、エトワール、マシェリ、アムール
みんな:うふふっ
アムール:ありがとうございます…あっ、適切なことばが見つかりません
マシェリ:ミデンの中で、どうなることかとハラハラしていたのです
アンジュ:でも、エールのまっすぐな思いが、わたしたちをもとに戻してくれたの!
エトワール:やっぱ、サイコーにイケてるよ、エール
エール:違うよ、ぜんぜんそんなことなくて、ちっちゃい子が泣いてるんだから、しっかりしないといけなかったのに、わたしまで泣いちゃって…
エール:なのに、みんながわたしを支えてくれたから
アンジュ:いいの。もう、いいの
エール:でも
エトワール:じゃあ、わたしたちがサイコーってことで、どう?
エール:うん!
「適切なことばが見つかりません」と、ことばの無力さがここでも描かれている。
マシェリが「ミデンの中で、どうなることかとハラハラしていたのです」と言うように、プリキュアの本体はちっちゃい子ではなくステンドグラスのほう。記憶のステンドグラスとちっちゃい子に分離したのではなく、本体がステンドグラスにされ、元に戻れるよう、かわりにミデンがちっちゃい子を作った。つまり、ミデンはこの時点ではいつかプリキュアをもとに戻すつもりだった。やっぱり監督の名前は重要でした。
吹っ飛ばされたミデンが戻ってきた。エールのことばにキレて、はなのデジカメを壊し、街の人を手当たり次第に襲い始めた。
ミデン:ああっ、ああっ、こんなことが二度までも
なぎさ:ああっ、あんたまだいたの?
ミデン:せっかく集めたキラキラの記憶が…
ミデン:ワタシの記憶がーっ!
エール:ワタシの記憶…?
エール:ええい
エール:違うよ!わたしたちの記憶、わたしたちの思い出だよ!
エール:もともともってない思い出なんて
エール:ぜったいあなたのものにはならないんだから!
ミデン:…ボクは…ボクだって…
エール:えっ?
ミデン:ワタシ、堪忍袋の緒が切れましたーっ!
「ボクだって…」となにか言いたげだし、「堪忍袋の緒が切れましたーっ」と言ってエールのデジカメを壊すところをみると、ミデンの行いにはそもそもエールに原因があるようだ。
街の人を見境なく攻撃し始めたが、もはやちっちゃい子を保護するつもりはない、つまりもとに戻すつもりはない。これが「堪忍袋の緒が切れた」ということだろう。地面が高く隆起し、ミデンのお城はその天辺にある。