青字はテレビシリーズ、赤字は劇場版なのですわ。「共通」のキャプチャーはテレビシリーズからですが、劇場版も大きな違いはありませんの。
さやかの転落の軌跡をたどりましたわ。おおまかにいって、テレビシリーズではさやかが正義漢ではなくなるさまを、劇場版では彼女の価値が失われていくさまを描いてますわ。
土手の会話
さやか:さやかちゃんはさ、怖くはないの?
(略)
さやか:だーかーらっ
さやか:なんつーかな、自信?安心感?ちょっと自分をほめちゃいたい気分つーかね
劇場版のさやかさんの顔には、逆光でもないのに濃い影が入ってますわ。さやかさんはウソをついていますの。ホントは怖くてたまらないのですわ。
BGMがテレビシリーズの明るい曲から、劇場版で「さやかのテーマ」になりましたの。
さやかの初陣
キュゥべえ:緊張してるのかい?
さやか:まあねえ。ひとつ間違えれば御陀仏なわけだし。
さやか:ねえ、わかる?手が震えちゃってさあ、さっきから止まらないの
テレビシリーズのみ、BGMにオリジナルの「さやかのテーマ」が入りますわ。劇場版はBGMはありませんの。
さやか:いままでみたいに、いっしょに魔女をやっつけよう!
劇場版では、直後にさやかさんのソウルジェムが光るカットがありますの。テレビシリーズでは、さやかさんがキュゥべえとたわむれたりしてますわ。
このあとさやかさんは使い魔を倒して杏子にインネンつけられますの。
バイオリンお渡し会
土手の会話からさやかが恭介の病室にやってきました。
劇場版の椅子もわかりにくいけどたくさんあります。椅子はネガティブな気持ちをあらわすのでしたかしら。
さやかが魔法で自作自演したバイオリンお渡し会です。左から三人めのナースが恭介にバイオリンを渡す役です。
本当のお祝いは退院してからなんだけど、足より先に手が治っちゃったしね
本当に足より先に手が治ったのか、足を治さなかったさやかがウソをついているのか、とても大事なことですの。
父親がケースを持ち、さやかはちゃっかり左から三人めのナースの前に陣取ってますわ。このナースはさやかの分身ですの。顔も似てますわ。
後悔なんて、あるわけない
この場面のBGMはどちらも「さやかのテーマ・オルゴールアレンジ」から恭介のバイオリンです。テレビシリーズと劇場版の大きな違いは、夕焼けの色合いと、劇場版にだけあるさやかの契約場面です。ブラッシュアップにすぎないかもしれませんが、劇場版のほうは不穏な感じがするのは否めませんの。
杏子はさやかの茶番をのぞいていました。杏子も魔法少女だから「足より先に手が治っちゃったしね」の不自然さに感づきましたわ。
これは双眼鏡に変形させていたソウルジェムをもとに戻すところです。まどかマギカでは、どうやらバイオリンの頭のクルッとした形は王子様を象徴しているようで、これもそのひとつのようなのですわ。
上条邸前
飛んで、さやかがナースに恭介の退院を知らされます。
ナース:あら
ナース:上条さんなら、昨日退院したわよ?
さやかさんは上条くんに退院を知らされるような仲ではありませんですの。
つぎはさやかが上条邸の前で杏子にからまれる場面です。
杏子:あんたなしではなにもできない体にしてやるんだよ
杏子:そうすれば今度こそ坊やはあんたのもんだ
身も心もぜーんぶね…
テレビシリーズでは目が小さく拡大縮小する動きで、さやかが怒りに震えているように見えます。はっきりしないけど、「本当に手だけ先に治った」と考えたほうがあとあとつじつまが合いますの。
劇場版では左右に大きめに動くようになって、動揺していることがはっきりしていますわ。杏子に「今度こそ」と言われて動揺していますの。見舞いに行きたいから足を治さなかったことが図星なのですわ!「さやかは恭介の手だけ先に治した」「それを杏子が感づいた」「杏子に図星を突かれてさやかが動揺した」と考えるのが自然です。
廃教会
いくつかの違いがありますけど、見た目はほとんど同じですわ。ここではさやかがらみのみ言及いたしますの。
さやか:なんでそんな話をあたしに?
杏子:あんたも開き直って好き勝手にやればいい
杏子:自業自得の人生をさ
さやか:それって変じゃない?あんたは自分のことだけ考えて生きてるはずなのに、あたしの心配なんかしてくれるわけ?
劇場版のみ、青い光がキーンという効果音とともにあらわれます。グリーフシードでソウルジェムを浄化したときもこんな音がしていた気がしますわ。
さやか:あんたのこと、いろいろと誤解してた。そのことはごめん、あやまるよ
さやか:でもね、あたしは、人のために祈ったことを後悔してない
さやか:その気持ちをウソにしないために、後悔だけはしないって決めたの
さやか:これからも
劇場版のほうが引いていますわ。決意のほどが弱まってますの。
ここから場面最後までBGMが入ります。版でまったく別の曲ですわ。少なくとも劇場版は、さやかの心情のようですの。
さやか:この力は、使いかたしだいでいくらでも素晴らしいものにできるはずだから
テレビシリーズのさやかがどアップになりました。表情もより強くなりましたわ。劇場版は変わりがないですの。
さやか:それからさあ、あんた
さやか:そのリンゴはどうやって手に入れたの?
さやか:お店で払ったお金はどうしたの
劇場版のさやかの顔が真っ黒です。この場面でこれだけ黒いのはここだけですの。杏子に対する強烈な敵意が感じられますわ。
さやか:なら、あたし、そのリンゴは食べられない。もらってもうれしくない
さやか:なら、そのリンゴはもらってもうれしくない
劇場版はおもいきり引いた絵面です。こちらにだけ十字架があるのは、杏子の稿で書きますけど、劇場版では杏子と父親の結びつきが強くなったからですわ。
セリフの違いは、劇場版では「食べる」ということばを嫌ったようですわね。これでは心にまでズーム・インできませんの。
さやか:あたしは、あたしのやり方で、戦い続けるよ
さやか:それがあんたの邪魔になるなら、前みたいに殺しにくればいい
さやか:あたしは負けないし、もう、恨んだりもしないよ
こんどは劇場版のほうがかなり明るくなってますわ。テレビシリーズは、なるべく杏子と戦いたくない感じで、劇場版では殺る気マンマンですの。
総じて、劇場版のさやかは杏子により敵対的ですわ。ただし、青い光のカットをわざわざ入れたという違いがあり、本当は杏子がさやかを大事にしていることがわかりますの。
さやかが教会を去ります。
劇場版のBGMはここで終わります。
さやかの登校
さやかが廃教会から画面奥へと去り、奥から手前へと登校してますの。
さやかちゃん、おはよう!
テレビシリーズのまどかはさやかにほがらかに声をかけます。BGMは劇場版とはまったく別の曲ですが、廃教会から続いてここで終わります。
仁美:おはようございます、さやかさん
あ、あああ。おはよう
セリフと上のカットは共通なのですが、さやかが照れるカットはテレビシリーズにしかありませんわ。
まどかはどことなく心配そうなのですの。
続くシーケンスはテレビシリーズと劇場版で違います。まずテレビシリーズからいきますわ。
仁美:昨日はどうかしたんですの?
三人で並んで歩いています。仁美が左手のさやかに聞きます。
さやか:んああ、ちょっとばかり風邪っぽくてねえ
さやかは右手の仁美を向いて答えます。さらっとごまかしてますわね。
さやかちゃん…
まどかは仁美をはさんでさやかのほうを向いて心配します。テンションは低めなのですの。
(だいじょうぶだよ。もう平気。心配いらないから)
さやかもまどかを向いてテレパシーで答えますわ。
だいじょうぶと言われ、まどかさんは安心しました。
今度は劇場版なのですの。
仁美:昨日はどうかしたんですの?
さやかは仁美の正面にいます。
さやか:へ?ちょっとばかり風邪っぽくてねえ
さやかは返答しつつそのまままっすぐ歩き、二人の横を通りすぎて一人で学校へ向かういます。うわのそらといった風情ですわ。
さやかちゃん!?
まどかは横を通りすぎたさやかを振り返って見ます。さやかを呼ぶ声もテンション高めでなのですわ。
(だいじょうぶだよ。もう平気。心配いらないから)
さやかは首をひねってうしろのまどかを見ます。まどかに呼ばれ我に返ったようなのですの。
こちらのまどかさんも安心しました。
テレビシリーズのさやかは、杏子とのことを考えながら登校していたが、まどかに声をかけられて頭を切りかえたようですわ。劇場版のさやかは、それ以外のことを考えながら登校しており、仁美の心配にもうわのそらで、まどかに呼ばれて我に返った感じですの。ゾンビになったことを考えていたのかしら。
恭介の登校
続くは恭介の登校場面です。恭介の足がとうとう動くようになりました。まずテレビシリーズからです。
さやか:さーて、今日もはりきって…ん?
お調子者のさやかちゃんに戻りましたわ。
恭介はこのあと木に隠れて、あまり映りません。このドス黒い木の影はなんか怪しいですわね。
驚いているという表情に見えます。
仁美:あら、上条くん、退院なさったんですの?
ここから「さやかのテーマ・オルゴールアレンジ」がBGMに入ります。
眉がハの字になっています。あきらかに困惑した顔ですわ。
心配そうなまどかさんです。
今度は劇場版ですわ。
さやか:さーて、今日もはりきって…ん?
前後に構図を合わせただけで、テレビシリーズと大差ありませんの。
テレビシリーズと構図が違います。禍々しい木の影はなくなりましたが、あいかわらず恭介は隠れてよく見えません。さやかたちからはよく見えているのですけど。
こちらも驚きの表情です。
仁美:あら、上条くん、退院なさったんですの?
なんでもないセリフですけど、さやかの傷をえぐるには十分ですの。
劇場版はここからBGMが入りますが、テレビシリーズとは別の曲ですわ。三人の足が見えています。
さやかの髪が風になびきます。髪がなびくのは心に波風が立っていることの表現としてよく使われるのですわ。表情も愉快そうではありませんわ。
まどかの髪も風になびきます。不穏なものを感じ取ってるいます。眉がハの字になり、口はヘの字になっています。目も大きく開いています。
テレビシリーズのさやかは恭介と顔を合わせたくなくて困っている感じで、劇場版のさやかはそれに加え、自分が恭介の足をすぐ治さなかった事実を今になってつきつけられた、という感じですわ。
テレビシリーズのBGMは「さやかのテーマ・オルゴールアレンジ」です。劇場版のBGMはまったく違う曲ですの。
教室の恭介
つぎはまどかがさやかをはげます場面です。BGMは前の場面から引き続いていますわ。基本的にはテレビシリーズと劇場版は同じ流れですが、大きな違いがありますの。
まどか:よかったね、上条くん
さやか:うん…
三人とも恭介を見ています。さやかは元気がありません。「さーて、今日もはりきって…ん?」からずっと元気がないのです。
さやかが「うん…」と言ってから、仁美がさやかのほうを向きます。
まどか:さやかちゃんも行ってきなよ。まだ声かけてないんでしょ
まどかが「さやかちゃんも行ってきなよ。まだ声かけてないんでしょ」と声をかけて、さやかがどう反応するか、仁美が様子をうかがっているところなのです。
テレビシリーズの仁美はさやかを向いていて心配そうですが、劇場版では向きを恭介のほうに変えて、横目でさやかを見るようになりました。さやかの反応が気になっているが、それを気取られまいとしています。こっちは心配してなさそうですわ。
さやか:あたしは…いいよ…
劇場版では、仁美はさやかの答えを聞いて、またさやかのほうを向きます。モーションはありません。テレビシリーズはずっとさやかを向いたままです。
…
まどかはここではまだ、さやかの「だってあたし、もう死んでるんだもん。ゾンビだもん」を聞いていないので、不思議に思っていますの。
仁美はテレビシリーズではさやかのほうを向いたままですが、劇場版では恭介を向いています。
…
これは劇場版も同じ絵面です。テレビシリーズの仁美はずっとさやかを見ていました。劇場版ではさやかと恭介の交互に向きました。
劇場版のBGMはここで終わります。
仁美とさやかの会話
つづいて仁美がさやかを呼び出した場面です。
テレビシリーズでは、仁美がさやかを呼び出したのは夕方です。BGM「さやかのテーマ・オルゴールアレンジ」がここでやっと終わりますから、この会話の場面は、恭介の登校場面と心情的に続いています。仁美は一日中さやかのことを考えていましたの。
劇場版のカフェテリアからは外が見えませんから、時間のことはわかりません。BGMは前の場面で終わっていますから、ここで仁美が考えていることは、さやかを横目で見ていた時とは違いますの。
食べ物を頼んだのはさやかだけで、仁美は飲み物だけです。劇場版にはホットドッグのカットはありません。テレビシリーズはそこを強調してますが、劇場版では後退していますわ。
つづいて仁美がさやかに挑戦状を叩きつけますわ。テレビシリーズと劇場版でほぼ同じのようですが、大きく違う部分がありますの。
それで…
話ってなに?
さやかのアップはテレビシリーズだけです。これは仁美の目線だから、劇場版ではあまりさやかを気にかけていませんの。セリフは同じです。
恋の相談ですわ
え…
仁美:わたしね、さやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです
さやか:え?あ、うん…
仁美:ずっと前から、わたし…
さやかは感づいたのか、手がすこし動きます。ソウルジェムを気にしているようですわ。
上条恭介くんのこと、お慕いしてましたの
テレビシリーズでは、これはさやかさんを恭介くんに告白するよう仕向けたウソです。
(息をのむ)
そ、そうなんだ…
仁美:(無言)
あ、はは、まさか仁美がねえ…
ああ、なんだ
上からの構図でわかりにくいのですが、目が泳いでいますの。
恭介のやつも、すみにおけないなあ…
この照れるポーズは、テレビシリーズの登校中にまどかに声をかけられたときと同じなのですわ。
さやかさんは、上条くんとは幼馴染でしたわね
ああ、まあ、その
腐れ縁ていうか、なんていうか…
本当にそれだけ…?
…
わたし、決めたんですの。もう自分にウソはつかないって。あなたはどうですか?
さやかさん。あなた自身の、本当の気持ちと向き合えますか
え…なんの話をしているのさ…
仁美:わたし、決めたんですの。もう自分にウソはつかないって。あなたはどうですか?
仁美:さやかさん。あなた自身の、本当の気持ちと向き合えますか
さやか:え…なんの話をしているのさ…
劇場版では、3カットが遠景の1カットにまとめられました。つまり、仁美のセリフの重要性が下げられましたわ。
あなたはわたしの大切なお友だちですわ
だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの
このカットには眉が釣りあがるモーションがありますわ。
テレビシリーズでは、交互に映る仁美とさやかがどんどんアップになりますの。「あわたはわたしの大切なお友だちですわ」も額面通り受け取れますわ。
劇場版では、遠景からいきなり仁美のどアップですわ。体裁をつくろい、抜け駆けや横取りだと言われたくないのがが重要で、さやかのことは大事ではありませんの。
(無言)
上条くんのことを見つめていた時間は、わたしよりさやかさんのほうが上ですわ
だから、あなたにはわたしの先を越す権利があるべきです
仁美…
仁美:わたし、明日の放課後に上条くんに告白します
まる一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔なさらないよう決めてください
上条くんに気持ちを伝えるべきかどうか
あ、あたしは…
すごく困った顔をしています。
仁美は自分の言いたいことだけ言って、軽く礼をして去りますの。
んはっ
ここも、とても困った顔をしていますわ。
テレビシリーズと劇場版の大きな違いは、「さやかさん。あなた自身の、本当の気持ちと向き合えますか」とその前後が、遠景のカットひとつにまとめられているところですの。このセリフはテレビシリーズ7話の副題になってる重要なセリフですが、劇場版ではこのセリフが邪魔になったようですわ。
テレビシリーズの仁美はさやかが恭介とつきあうべきだと考えていましたの。登校してきた恭介に声をかけないさやかを見て、心配して、「さやかさん。あなた自身の、本当の気持と向き合えますか」と発破をかけました。「な、なんの話をしてるのさ…」とごまかすさやかを見て「あなたはわたしの大切なお友だちですわ」と腹を立てました。それでもさやかがなにもしないなら、自分がつきあうつもりですわ。仁美はさやかに恋しており。親友の彼女を大事にしてますの。自分はもうすぐ留学だから、最後にさやかさんの背中を押したんですの。
劇場版の仁美はさやかを横目で見ました。「今日のさやかはおかしい」と思いつつ、心配ではなく、なにかたくらみました。恭介に声をかけないさやかを見て、今がチャンスだと思いました。「だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの」と体裁のため、さやかに猶予を与えても、恭介に告白しないことを確信したんですの。さやかの「本当の気持ち」など仁美にはどうでもいいのですわ。仁美は腹黒ですわ!仁美はさやかを大事にしてませんの。腹黒の理由としては、まどさやに疎外感を感じていたという可能性はあげられますわ。
たんに留学前を控えて時間がなかっただけで腹黒ではないかもしれませんわね。腹黒のほうがおもしろいけどこっちの気がしてきましたわ。
仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう二通目
これはどちらにもある場面ですが、なぜさやかが仁美に届いたラブレターを知ってますの? (まどかさん、さやかさん、わたし、またラブレターを頂きましたの。今月になってもう二通目ですわ)とか言ったに違いありませんの。仁美は性格が悪いのですわ。自分はモテて当然だと思っていますの。恭介にフラれるなんて思いもしませんわ。
さやかのマンション前
つづいてさやかのマンション前です。ほとんど同じです。音声は再録です。さやかがキュゥべえと一緒に魔女退治に出かけます。
街灯と月のカットはテレビシリーズだけです。どちらもなにかを象徴しているようです。劇場版では月はあとのほうに出てきます。
灯台の魔女戦に行くところですが、まどかは連れて行くつもりはありませんの。
まどかさんはマンションの入り口でさやかを待っています。
んっ…
マンションからでてきたさやかがまどかに気づきます。
んっ…
劇場版では2カットかけています。首を傾けずに横目で見ていますわ。
この場面はBGMが違い、テレビシリーズではさびしそうな、劇場版ではあたたかみのある感じなのですわ。
さやか:まどか…
劇場版では「まどか…?」と語尾が上がっています。前のカットとあわせ、テレビシリーズでは、来てくれたという感じ、劇場版では、来やがったという感じですわ。
ついてって、いいかな…
さやかちゃんにひとりぼっちになってほしくないの
だから
あんた…なんで、なんでそんなにやさしいかなあ…
あたしにはそんな価値なんてないのに
テレビシリーズのみさやかの体が震えています。声もすねた感じ、感情がたかぶった感じですわ。劇場版のさやかはもう少し落ち着いていますの。
まどか:そんな…
あたしね、きょう、後悔しそうになっちゃったの
…
あのとき仁美を助けなければって…ほんの一瞬だけ思っちゃった
これが最後まであとを引きますわ。
正義の味方失格だよ…マミさんに顔向けできない…
はっ
まどかがさやかに駆け寄りますわ。
(さやかが泣いている)
劇場版ではキュゥべえを描いていません。この美しい絵面にキュゥべえがいてはいけませんの。マンションの装飾の、先がクルッとまるまったものは、たぶん王子様の象徴ですの。シルエットだけだと身長差からさやかのほうが王子様に見えますわ。さやかがまどかの王子様ですの。くわしい話はまどかさんの稿でいたしますわ。
さやか:仁美に恭介をとられちゃうよお…
劇場版にはこのカットはなく、セリフは前のカットにあります。
でもあたし、なにもできない
だってあたし、もう死んでるんだもん。ゾンビだもん
でもあたし、なにもできない
さやか:だってあたし、もう死んでるんだもん。ゾンビります
劇場版のみ二人の顔のアップになってますの。テレビシリーズの「キスしてなんて言えないよお」のカットのかわりですわ。
こんな体で抱きしめてなんて言えない
劇場版ではキュゥべえがいません。
キスしてなんて言えないよお
劇場版では前のカットにまとめられていますの。「さやかの価値」に集中するため、恋愛要素を弱めていますわ。
(さやか号泣)
(さやか、泣いている)
劇場版はここでBGMが終了します。
まるいものが1カット入ります。まどマギではまるいものは魔法や魔女を象徴しているようですの。
テレビシリーズのBGMが終わりますわ。
わかりにくいですが、劇場版にキュゥべえが戻ってきていますわ。
さやか:ありがとう。ごめんね
まどか:さやかちゃん…
さやか:もうだいじょうぶ。すっきりしたから
まどか:…
さやか:さあ行こう、今夜も魔女をやっつけないと!
まどか:うん
灯台の魔女戦
BGMはテレビシリーズが「さやかのテーマ」、劇場版は悲壮感あふれる別のアレンジです。
杏子:おおい
さやか:邪魔しないで
さやか:ひとりでやれるわ
苦戦するさやかを見かねて杏子がかわりに戦おうとしたところです。ここからさやかの声が変わり、ドスのきいたものになりますわ。
杏子:あんた、まさか…
さやかはこのへんで痛みを完全に消しました。
あっははは、ほんとだ!
その気になれば痛みなんて、ふふふ、あっははは
完全に消しちゃえるんだ!
テレビシリーズではこのあと画面が暗くなり
まどか:やめて…もう、やめて…
と入って、エンディングです。次回の続きは「さやかのテーマ」から別のBGMになります。
さやかが魔女をしつこく殴り、まどかと杏子が絶句し
さやかの顔が映り、灯台の魔女が崩壊し
やりかたさえわかっちゃえば簡単なもんだね
これなら負ける気がしないわ
魔法で傷を治していますわ。
劇場版だけBGMがここで終わります。
あげるよ
そいつが目当てなんでしょ
「あんたに借りは作らないから」と言って、さやかがグリーフシードを杏子に投げました。劇場版のみ、杏子を小馬鹿にしたような笑いが入ります。
文学の一般論ですが、「そいつが目当てなんでしょ」と言った場合は、実際はそうではありませんの。
テレビシリーズのBGMは前の続き、劇場版はBGMなしです。
さやか:さあ帰ろう、まどか
さやかちゃん…
変身を解いたさやかがふらつきます。
さやか:ごめん
「ごめん」を聞いて杏子が振り向きます。
ちょっと疲れちゃった
劇場版では画面が暗転してからセリフが入り、この場面が終わります。以降はテレビシリーズのみです。
さやか:無理しないで、つかまって
画面が暗転して
あのバカ…
杏子は険しい顔をしています。テレビシリーズでは、杏子とさやかの結びつきが強めですの。
バス停
一緒に帰った二人が、バス停で雨宿りしています。
はじめは、さやかはまどかにもたれていますの。
まどか:あんな戦いかた、ないよ
まどかに説教され、さやかが顔をそむけました。
まどか:痛くないなんてウソだよ。見てるだけで痛かったもん
まどか:感じないから傷ついてもいいなんて、そんなのダメだよ
さやか:ああでもしなきゃ勝てないんだよ。あたし才能ないからさ
さやかがまどかと距離をとっています。まどかがさやかのほうに手をついてから、さやかがセリフを言います。
まどか:あんなやりかたで戦ってたら、勝てたとしても、さやかちゃんのためにならないよ
さやかはすっかりまどかに背を向けましたわ。まどかに慰めてほしかったのに、説教かまされてすねてしまいましたの。
あたしのためにってなによ
まどか:えっ?
さやか:こんな姿にされたあとで、なにがあたしのためになるって言うの?
まどか:さやかちゃん…
立ち上がってソウルジェムを見せました。
いまのあたしはねえ、魔女を殺す、ただそれだけしか意味のない、石コロなのよ。
痛みを消してまで戦ったのに、説教ではキレて当然ですわ。
さやか:死んだ体を動かして、生きてるふりをしてるだけ
さやか:そんなあたしのために、だれがなにをしてくれるっていうの
さやか:考えるだけ無意味じゃない
まどか:でもあたしは、どうすればさやかちゃんが幸せになれるかって…
さやか:だったらあんたが戦ってよ
映像は違うけど、まどかの回想です。劇場版では、さやかのソウルジェムが濁っていないことを強調してますわ。灯台の魔女戦ではソウルジェムは濁りませんでしたの。
排水溝ですが、さやかがなにかを大切なものを捨ててしまったことを示しているような感じですわ。
キュゥべえから聞いたわよ。あんただれよりも才能あるんでしょ?
あたしみたいな苦労をしなくても、簡単に魔女をやっつけられるんでしょ?
まどか:あたしは…
まどか:そんな…
このセリフはテレビシリーズだけです。劇場版ではキュゥべえから聞くくだりがカットされてたかも。
さやか:あたしのためになにかしようっていうんなら
(テレビシリーズのみ、さやかがまどかに手を向ける)
さやか:まずあたしと同じ立場になってみなさいよ
さやか:無理でしょ。当然だよね?
さやか:ただの同情で人間やめられるわけないもんね
まどか:同情なんて、そんな
なんでもできるクセに、なにもしないあんたのかわりに、あたしがこんな目にあってるの
それを棚に上げて、知ったようなことを言わないで
まどか:さやかちゃん…
さやかがバス停から出て、まどかがついてきます。
ついてこないで
さやかが駆け出し、まどかはひとり残されましたの。
テレビシリーズ
バカだよあたし、なんてこと言ってんのよ。もう救いようがないよ
劇場版
(声を上げて泣いている)
この場面の違いは実質ここだけですわ。
さやかのソウルジェムが濁りました。半分青いですわ。テレビシリーズでは、他人を傷つけた、呪ったときにソウルジェムが濁りますわ。劇場版ではさやかは泣くだけだったので、まだわかりませんの。
テレビシリーズにだけ辛気臭いBGMがありますわ。劇場版はBGMなしです。
仁美の告白
まどかを傷つけて自分も傷ついたさやかが、雨にズブ濡れになったままどこかで野宿して、翌日の放課後の仁美の告白をのぞきにやってきましたの。
英語は普通に中学校レベルの見滝原中学ですわ。さやかが欠席しています。
あのとき、追いかけなきゃダメだったのに…
ここまでテレビシリーズのみ。
劇場版はここから始まります。
恭介:でもさあ、志築さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?
恭介:いままで、帰り道に見かけたことってないような…
仁美:ええ、本当はぜんぜん逆方向ですわ
仁美は告白する前だというのに勝ち誇った顔をしてますわ。劇場版ではこのカットは上の共通のカットにまとめられていますの。
恭介:えっ?じゃあ、今日はどうして?
並んで歩いていた仁美が恭介の前に出ます。
上条くんに…
お話ししたいことがありますの
仁美はわざわざ恭介を振り返って告白しましたの。後ろを振り向いて告白することで、仁美が上位だということを描いていますわ。たぶん。
テレビシリーズでは仁美はさやかに恋をしているので、告白ではありませんわ。劇場版では告白ですわ。
テレビシリーズのみ、仁美の告白のあと、街のカットがいくつかあり、最後にさやかのマンションの入り口のカットになります。
まどか:えっ?帰ってないんですか?
まどか:昨日から…そんな…
まどか:はい、えと、わかりました
まどか:はい、失礼します
まどかのセリフが終わり、BGMに「さやかのテーマ・オルゴールアレンジ」が入ります。
うなだれて帰ろうとするまどかでしたが
足を止め
さやかちゃん…
探さなきゃ!
振り返ってりりしい顔のまどかがさやかを探しにいきます。劇場版でも探してはいますが、ホストの会話の場面の最後の「さやかちゃん、どこ…?」だけですわ。つまり、画面上では、まどかはさやかを大事にしていませんわ。
ここでテレビシリーズと劇場版が合流します。劇場版は「さやかのテーマ」にフィルターがかかったBGMが始まりますわ。テレビシリーズは引き続いてオルゴールアレンジですの。
楽しく語らう仁美と恭介です。テレビシリーズでは、普通に話しているだけです。さやかさんのことかもしれませんわ。
それをのぞくさやかさんです。
さやかが恭介ではなく仁美を見ていることがわかる構図ですわ。
さやかさんは、仁美様の告白が成功したと考えていますわ。テレビシリーズでは誤解ですわよ!その誤解が悲劇を生んでしまいますの。
テレビシリーズのみ、さやかは制服のままゆらゆらしています。さやかの失恋です。これは「にんぎょひめ」をイメージしているようですわ。
ゆらゆらしていたさやかが効果音とともに突然目を見開きます。このカットが劇場版との大きな違いですわ。
どぅりゃあああああーーーーっ!!
泡がさやかさんがこぼした涙のように見えます。涙をこぼすのは、ウソをついたことを認めたときですわ。テレビシリーズでは、仁美を呪う自分は正義の味方ではないことを認めること、劇場版では、恭介ではなく自分のために足を治したことを認めることですの。
劇場版のBGMはフィルターがなくなり、「さやかのテーマ」そのままになりますわ。
劇場版にのみまるい五線譜の効果があります。五線譜には音符がなにもありませんの。
灯台の魔女戦が終わったときは五線譜に音符がたくさんありましたわ。
テレビシリーズのみ、使い魔に八つ当たりしていたのがマンションの通路だということがわかります。このあと変身を解いてBGMが終わります。
劇場版のみ、さやかが溶けていくカットがあります。これもさやかの失恋で、やはり「にんぎょひめ」っぽいですの。このあとはホストの会話の場面につながり、BGMは途中でブチっと切れます。
さやか:だって、あれほっといたら、だれかが殺されるのよ
杏子:だからさ、四、五人ばかり食って魔女になるまで待てっての
使い魔といえどもほっとけないのですわ。テレビシリーズでは、戦う力がなくなったさやかを描き、劇場版では、本当に八つ当たりを描いていると考えられますの。
マンションの通路(テレビシリーズのみ)
劇場版ではバッサリ削除されましたわ。
使い魔を倒すだけで、肩で息を切るさやかです。ソウルジェムは限界です。
ほむらが登場しました。BGMは終わっています。
さやかはほむらをにらみます。
ほむら:どうしてわからないの。ただでさえ余裕がないのだから
ほむら:魔女だけを狙いなさい
さやか:うるさい…大きなお世話よ…
ほむら:もうソウルジェムも限界のはずよ
ほむら:いますぐ浄化しないと
ほむら:使いなさい
さやかの心配などしていない、まどかを悲しませたくないだけだと、あとのほうでほむらは言いますが、まあウソですわね。
さやかはほむらがよこしたソウルジェムを足で後ろに思いっきりけとばします。
さやか:今度はなにをたくらんでるのさ!
ほむら:いいかげんにして
ほむら:もう人を疑ってる場合じゃないでしょ
ほむら:そんなに助けられるのがイヤなの?
さやか:あんたたちとは違う魔法少女になる、あたしはそう決めたんだ
さやか:だれかを見捨てるのも、利用するのも、そんなことをするやつらとつるむのもいやだ
さやか:見返りなんていらない
さやか:あたしだけは絶対に自分のために魔法を使ったりしない
車のヘッドライトがまぶしいのですが、要するにこのセリフは重要だということです。さやかが正義の味方にこだわるのも、仁美を呪ってしまったことの埋め合わせのようですわ。
ほむら:あなた…死ぬわよ
さやか:あたしが死ぬとしたら、それは魔女を殺せなくなったときだけだよ
さやか:それってつまり用済みってことじゃん?
さやか:ならいいんだよ
(さやか、膝をつく)
さやか:魔女に勝てないあたしなんて、この世界にはいらないよ
「この世界」ということばはホストの会話にもでてきますわ。
このあとほむらとのやりとりがあり、杏子が助けに入ったりして場面が終わり、ホストの会話の場面につづきますの。劇場版にはこの場面がないので、さやかは大事にされていませんわ。
ホストの会話
劇場版はのぞきから直接こちらにつながってますの。さやかはあてもなく電車に乗ってますわ。
いいわけとかさせちゃだめっしょー
稼いできたぶんはきっちり全額貢がせないと
女ってバカだからさー、ちょっと金持たせとくとすぐくっだらねーことに使っちまうからねえ
いやー、ほんと、女は人間扱いしちゃダメっすねー
犬かなんかだと思って、しつけないとねー
(微妙にトーンダウン)あいつもー、それで喜んでるわけだし
顔殴るぞって脅せば、まずたいていは黙りますもんね、けっ
ちょっと油断すると、すぐつけあがって籍入れたいとか言い出すからさー、甘やかすの禁物よ
ったく、てめえみたいなキャバ嬢が、十年後も同じ額稼げるかってえの
身の程わきまえろってんだ、なあ
捨てるときがさー、ほんとウザいっすよねー
そのへんショウさん上手いから、うらやましいっすよ。俺も見習わないと。お?
青字は劇場版で削られました。女の金や稼ぎ、しつける話が削られました。残ったのは、女は人間扱いしちゃダメなことと、甘やかすとすぐ籍を入れたがる話ですわ。
さやか:ねえ、その人のこと聞かせてよ
ホスト:はい?
さやか:いまあんたたちが話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ
ホスト:お嬢ちゃん、中学生?夜遊びはよくないぞ
さやかさんがホストに聞きたがっているのは、恭介の気持ちですわ。
さやか:その人、あんたのことが大事で、喜ばせたくてがんばってたんでしょ
さやか:あんたにもそれがわかってたんでしょ
さやか:なのに犬と同じなの?ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ、捨てちゃうの?
でも、上条くんは魔法のことなどご存じありませんから、無理なお話ですわ。
テレビシリーズのほうが詰問調で怒気がこもっていますの。「ありがとうって言わないの?」は、手を治したことをいっていて、上条くんを「犬みたいに捨てやがって!」と呪ってらっしゃいますの。
劇場版のさやかさんは、あまり上条くんを責めていないような感じですわ。
ホスト:なにこいつ、知り合い?
ホスト:い、いや…
さやかがくしゃみをします。
さやか:ねえ、この世界って守る価値あるの?
さやか:あたしなんのために戦ってたの?教えてよ
さやか:いますぐあんたが教えてよ
テレビシリーズの「この世界」とは、マンションの通路の「魔女に勝てないあたしなんて、この世界にはいらないよ」のことです。仁美も恭介も呪ったこの世界に、それでも守る価値はあるのかと聞いています。だから一般論なのですわ。
劇場版の「この世界」とは、さやかが直前に見ていた世界、仁美が恭介とつきあう世界のことですわ。恭介のことはあきらめたけど、恭介から(いままでありがとう)と言われれば、それだけでこの世界には守る価値がある、自分にも価値があるとさやかは考えていますの。ということですわ。まさに「にんぎょひめ」ですの。
さやか:でないとあたし…
テレビシリーズは目が見えていますが、劇場版は完全に影になっています。
五線譜に音楽記号が復活しましたわ!
(画面暗転)
まどか:さやかちゃん、どこ…?
あたしって、ほんとバカ
公園の場面は飛ばします。さやかが駅のベンチに座っているところを杏子が探し当てたところから始まりますの。
テレビシリーズと劇場版でほとんど違いはありません。違うのはセリフの意味ですわ。
杏子:やっと見つけた
杏子:あんたさ、いつまで強情はってるわけ?
さやか:悪いね、手間かけさせちゃって
杏子:なんだよ、らしくないじゃんかよ
さやか:うん、べつにもう、どうでもよくなっちゃったからね
さやか:結局あたしは、いったいなにが大切で、なにを守ろうとしてたのか、もうなにもかも、わけわかんなくなっちゃった
杏子:おおい
さやかが真っ黒なソウルジェムを見せ、BGMが入ります。テレビシリーズはオリジナルの「さやかのテーマ」、劇場版は灯台の魔女戦と同じ悲壮感あふれるアレンジです。
杏子:ああっ
さやか:希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつだったか、あんた言ってたよね
さやか:いまならそれ、よくわかるよ
さやか:たしかにあたしは、何人か救いもしたけどさ
さやか:だけどそのぶん、心には恨みや妬みがたまって
さやか:いちばん大切な友だちさえ、傷つけて
口が自嘲的に笑っています。
杏子:さやか、あんたまさか
さやか:だれかのしあわせを祈ったぶん、ほかのだれかを呪わずにはいられない
さやか:あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね
テレビシリーズでは、「ほかのだれかを呪わずにいられない」の「ほかのだれか」とは、ホストの会話の場面の「ねえ、この世界って守る価値あるの?」と同じく、一般論ですわ。
劇場版では、ほかのだれか=自分自身を呪ったぶん、仁美のしあわせを祈らずにはいられない、ということですわ。友だちを妬むのも、しあわせを祈るのも、人間には同時に存在しうるというだけのことです。
さやか:あたしって、ほんとバカ
最後のセリフは抑揚が違い、テレビシリーズでは「あ↑た↑し↑って、ほんとバカ」と「あたし」に強調がきており、自嘲的です。自分はだれかを呪ってしまい、正義の味方でいることは不可能だと、やっと気がついたんですの。願いはかなったがしっぺ返しされるという、古典的は話がテレビシリーズですわ。さやかの場合は、恭介の足を治す→登校できるようになって仁美が告白、ですの。
劇場版では「あ↓た↓し↓って、ほんとバカ」と「ほんと」に強調がきており、自嘲的ではありません。これは、たったひとり自分の価値を認めてくれていた杏子につらくあたってきたことを、ほんとバカと言っていて、うれしかったのですわ。さやかの価値=自尊心がゼロになるのが悲劇ですが、彼女は最後までだれも呪わず正義漢をつらぬきましたの。一般論を排して自尊心の問題に置き換えたため、悲劇性がケタ違いになりましたわ。