
遠藤淑子『ニュームーン』は『マダムとミスター(2)』収録の美少女の幽霊の話です。しかし本当のヒロインは主人公の警官ロビーの相棒シェイラさんなのです。
内容紹介はせず、読んだ人向けの解説です。

シェイラさんはロビーの相棒です。

警官の仕事はとても危険です。

軽口をたたいているだけです。

シェイラさんはロビーの隣です。シェイラさんも幽霊番組を見ています。

こちらは反対隣りです。

美少女幽霊のクリスティンは1862年に死にました。ここが米国だとわかります。かわいいけどヒロインではありません。

ロビーやシェイラさんがいるのは郡警察です。となりの群はそちらの郡警察の管轄なので、わざわざ資料を取り寄せたのです。

管轄が違うから「新聞が騒いでるぞ」と他人事です。シェイラさんは女性行方不明事件を独自に捜査しているのです。正義感あふれる人なのです。




シェイラさんにはクリスティンの声は聞こえないので

シェイラさんに聞こえたのは、ロビーの
君…
クリスティン 昨夜も言ったけど 俺は君の恨みを晴らすことはできないんだよ
幽霊に聞きましたと言っても事件の立証はできないんだよ
このセリフだけです。
美少女幽霊が言った「クリスティン」は、「君…」に答えた自分の名前ではありません。
あら 死んでるわよ この人達
ここは「人達」ですが
霊体になってブツブツ恨み事言いながら 5丁目の辺りうろついてたの見たわ
連続殺人であって一度に殺されたわけではないから、幽霊が集団でうろついていたとは考えにくい。美少女幽霊が見ている写真のニュームーン・ミッシングの犠牲者の名前もクリスティンで、彼女の幽霊がうろついていたと考えるほうが自然です。ひっかけ。
シェイラさんは
幽霊に聞きましたと言っても事件の立証はできないんだよ
これを、「ロビーが事件の犠牲者のクリスティンの幽霊に直接話を聞いた」と理解したのです。
シェイラさんはビリーバーです。

小声ではシェイラさんには聞こえません。

シェイラさんはロビーの好みもよく知っています。

事件を独自に調べているシェイラさんは話を聞きたかったのですが

シェイラさんには霊感がないから「力になれない」と言っただけで、ロビーをバカにしたつもりはありません。


また発砲事件です。コンビのふたりは行動をともにしています。撃たれて一か月も入院したのに、ロビーは危険なほうを担当です。シェイラさんはロビーのこういうところにホレているのです。

ロビーはどんくさいのです。
シェイラさんはレディなのです。

ロビーは暇を見て犯人宅を張っているので、シェイラさんとペアではありません。

ロビーもシェイラさんとパトカーに乗っているはずです。

シェイラさんはロビーとコンビだからシフトもおなじです。ロビーの居残りにつきあっていました。


シェイラさんは、ロビーが犠牲者の幽霊から犯人を聞いていると思っているので焚きつけています。最後ギャグで落としていますが、シェイラさんが(どんくさいが)勇敢なロビーを尊敬しているのは本当です。


シェイラさんに焚きつけられて、勤務時間外の私服姿で捜査をしようとしています。

遠藤先生は美女の死体が大好きです。

ロビーがセキュリティ会社に切ってもらった警報を、だれかがまた入れたのです。

クリスティンは19世紀に死んだので、警報装置のことなど知りません。ロビーをつけていたシェイラさんの仕業です。
シェイラさんは元カノと違ってタフなのです。
危険に慣れっこです。
男は女を守り、女は男を支えるという古風な価値観なのです。『スノウ』もおなじで、『空のむこう』はそれができなかったゆえの悲劇です。遠藤作品にはいい女が多いですが、表面的にはヒロインではないシェイラさんもスーパーレディなのです。
