遠藤淑子の短編『スノウ』(白泉社文庫『空のむこう』収録)には、普通に読んだだけでは気づかない点があり、きちんと押さえると別の話になります。ストーリー紹介は省き、読んだ人向けにしました。
すのうさんが口紅を引いていますが、これは政略結婚の結婚式から逃げてきたからです。花はニリンソウです。
袿(うちき)は正装ですが、舞台は戦国時代で、そのころにはすたれていました。それで「古風な」と言っています。袿がないとすのうさんは結婚できません。
相手の姿は描かないのに、政略結婚の話題が何度も出てきます。『スノウ』がすのうさんと殿様の結婚の話だということのヒントです。
「あれがないと…」でことばを濁しました。この話題は二度と出てきません。本当は袿がないと結婚(式)ができないのです。
殿様は頭がいいので、これですのうさんが人間ではないことをうすうす察しました。
すのうさんは見た通りの美人で、処女です。この話はすのうさんが処女でなければ成り立ちません。セックスの話は『空のむこう』でやります。
すのうさんの許嫁もものすごく年上なのでしょう。
すのうさんと殿様の両方に大変な事が降りかかります。すのうさんを連れ戻しにきた連中が大雪害を起こすのでしょう。
すのうさんが赤くなっています。フラグです。
また政略結婚の話です。
すのうさんが殿様の額に濡れた布を当てました。
家臣はすのうさんをよく思っていません。
すのうさんが口紅を引いていることがわかるのは、表紙とこのコマだけです。殿様はすのうさんの名前を知ったので、気になりだしました。
また政略結婚の話です。
すのうさんが立ち聞きし、政略結婚のことを知りました。
雪を降らせて自軍に有利にするつもりです。
殿様が頭のいいことは非常に大事なことがらです。欲があれば天下を取れることも最後に効いてきます。
男子の頬に手をあてるほどラブ度が高まっています。天の国は平和なので、人を斬るような人間は入れませんが、殿様は十分平和なのでOKそうです。
やはり家臣はすのうさんをよく思っていません。屋敷ではすのうさんの味方は殿様だけです。
すのうさんの故郷は天の国です。
すのうさんのこのセリフは非常にまぎらわしいのです。先のほうのセリフ
事実は
- すのうさんの故郷は両親の駆け落ち先の国で、母の故郷とは別
- すのうさんが持っている袿は王女の証
- すのうさんは政略結婚させられそうになっている
すのうさんの故郷と母の故郷が別なら、すのうさんが結婚式を脱出してきたという解釈もできます。
かなりやきもちを焼いています。
殿様が天下を取るとどういう国になるかの話です。最後に効いてきます。
また政略結婚の話です。
どうやら二月の話です。「雪もなくなり…」にすのうさんの名前をかぶせてヒントにしています。
手前の子がエピローグに出てきます。
寒牡丹の雪囲いを直すすのうさん。子供と遊ぶのとおなじ構図です。
殿様は教養人なのです。照れているのは頭の雪を払ってもらったから。
また政略結婚の話です。
どうやら予知ではなく、雪を降らす能力の持ち主のようです。取り消しはできないが。あとで殿様の首を絞めることになります。
すのうさんはあいからわず殿様以外の味方がいません。
ここが戦場になれば、すのうさんもタダではすみません。
ギャグで落としたが、領主が領民を守るのはお人好しだからではありません。殿様はすのうさんも守らなければなりません。
母の故郷ではすのうさんを知る人がいないので、殿様と結婚できます。
「わたしがここまで言ってやってる」と超偉そうですが、王女さまだからです。
すのうさんはずっと婚礼装束のままでした。これに袿をかぶればお嫁さんの正装です。「幸福になれ」=結婚しろ、です。
政略結婚なんかしても不幸になるだけだと言っています。すのうさんは結婚脳なのです。
お嫁さんの正装です。立派な結婚式です。
殿様は土に、すのうさんは水に帰ります。それはふたりが一つの国になるということです。
殿様はすのうさんが蹂躙されたり死体が野ざらしになったりせずに消えると聞いて安心しました。すのうさんを帰さないのは、殿様らしく欲を出し支配したからです。「さほど変わらんな」は、天の国と自分たちの国がさほど変わらないという意味で、こちらも欲を出しました。
殿様は欲さえあれば天下を取れるので、欲を出したいま、殿様の天下になりました。
それはこんな国です。
すのうさんの欲=支配は好きな人と結婚することです。 すのうさんは天の国の人だから、地上の国には欲はありません。だからすのうさんのは純粋な祈り です。
アーメン(ヘブライ語: אָמֵן(ティベリア式発音: āmēn アーメーン、現代音: amen アメン); アラビア語: آمين(āmīn アーミーン); ギリシア語: ἀμήν (古典音: amḗn アメーン、コイネーおよび現代ギリシア語: amín アミン); ラテン語: āmēn アーメーン; ロシア語: Аминь アミン)はヘブライ語で、「本当に」「まことにそうです」「然り」「そうありますように」[1][2]の意。アブラハムの宗教で使われる用語である。
この話は最後に喜劇になりました。
女が男を守るときはこんな感じです。子供や寒牡丹とおなじ構図。
屋敷ですのうさんと遊んでいた子です。ニリンソウの花言葉は「ずっと離れない」などです。
王女さまの祈りで、本当に天の国のようです。セックスはできませんでしたが、この子も殿様とすのうさんの子供ようなものです。
「空のむこう」も欲=支配の話です。鬼畜先生も鬼畜でない話も描けるんですね。
さて、このまんがの題名は『スノウ』でした。だからすのうさんが本当のヒロインではありません。彼女の本名は「スノウ」で、このへんだと冬にチラチラするやつのことです。