この映画を観た人はご存じのとおり、感動的な傑作ですが、史上最悪の映画でもあります。
最初から。
つむぎはバレエを習っていたのだが、突然足が動かなって踊れなくなり、不幸になっていた。そんな彼女がなぜテレビを見ていたのかというと…
普通はサイアークはこのように浄化される。
とても幸せそうなプリキュアたち。当初険悪だったプリンセスとフォーチュンもすっかり仲良し。ハニーまでこの体たらく。
つむぎはプリキュアのことが大好きで、不幸な自分を助けに来てほしかった。彼女の不幸とは、ものごとや人が自分の思い通りにならないこと。つむぎはお人形をたくさん持っており、甘やかされて育ったことがわかる。
今回の悪のボス、ブラックファングが登場。つむぎを甘やかし、願いをかなえると言っている。つむぎは彼についていくことにした。
これはつむぎがいちばん大切にしているお人形のジーク。
人形化したつむぎがドール王国からプリキュアに助けを求めにやってくる。ドール王国とはブラックファングがつむぎに与えた夢の王国だ。最近サイアークが現れるようになったので退治してほしいと言っている。
人形がしゃべっているのに、めぐみは無警戒だ。ひめでさえ警戒しているというのに…
常識人ふたりの反応。
この場面のつむぎの表情から、彼女がすでにプリキュアに悪感情を抱いていることがわかる。たんにドール王国を守るためであれば、憎む必要はない。
プリキュア一行はドール王国についたとたんにサイアークに襲われ、撃退したが、プリンセスが「なんかいつもと違くない?」と言うとおり、サイアークは浄化されずに消えてしまった。りぼんも幸せを感じないと言っている。
この場面はあとでラブリーが回想する。
つむぎは傷ついた様子。
この場面でつむぎが傷ついた理由をどう考えるかでこの映画はまったく違ったものになる。ラブリーは(観客も)、自分はつむぎの足を治せないのに無責任なことを言ったためにつむぎが傷ついたと考えた。
しかし、この映画をよく見れば、つむぎはひとりで苦しむ自分のところにプリキュアに来てほしかったが、ラブリーはそんなことを思いもしなかったため傷ついたというのが本当の理由だとわかる。このためつむぎはラブリーを憎んでいる。
現実世界ではお人形のジークは、ドール王国では王子様だ。ホレっぽいひめがすぐホレた。
サイアーク戦の戦勝パレードにて。めぐみはかなりいい加減な人物だとわかる。名前知られたらあかんかったのではないですか。
パレード後の舞踏会にて。つむぎの踊り(くるみ割り人形)を見て、一行は感動し、みんなも踊った。
いおな「わたしは結構よ」
いおな「サイアークは倒したけど、まだなにも解決していない気がする」
ゆうこ「そうね、いろいろと気になることもあるし」
ゆうこ「つむぎちゃんが、わたしたちがプリキュアだってことをどうして知っていたのか…」
いおな「ゆうこ…あなたも気づいてたの!?」
常識人のふたりは舞踏会に裏があることに感づいていたが、結局様子を見る。
ジークがひめを連れ出す。ひめは他のメンバーと分断される。
ゆうこ「めぐみちゃんが、つむぎちゃんと出ていったわ」
りぼん「ひめは王子様と行っちゃいましたわ」
いおな「バラバラになるのは危険だわ」
ゆうこ「うん」
会場ではつむぎがめぐみを連れ出す。めぐみも他のメンバーと分断される。ゆうこといおなが危険性に気づく。と、やはり幕のすそからサイアークが。
ゆうこといおなの場面から、ひめとジークの場面に切り替わる。
これ以降は場面の切り替えが多く、だれがなにを知っているのか把握しづらくなっている。
ひめとジークの場面から、めぐみとつむぎの場面に切り替わる。
つむぎ「みんな、幸せハピネス」
めぐみ「えっ?」
つむぎ「あなた、そう言ってましたね」
めぐみ「うん!プリキュアいっしょうけんめい頑張って、みんなで幸せハピネスになる、それがあたしの目標なんだ!」
つむぎ「無理だよ」
めぐみ「え?」
つむぎ「プリキュアにだってできないことはある」「みんなを幸せになんてできっこない」
めぐみ「あ…そんなことはないよ。がんばれば誰だって幸せに…」
つむぎ「あたしはだめだった!」「がんばったけど…だめだった」
つむぎの予想外な行動に無防備なラブリーがサイアークに吹っ飛ばされ、立ち上がる。
ラブリーとつむぎの場面から、ハニーとフォーチュンの場面に切り替わる。
苦戦するふたり。サイアークは倒しても倒しても復活し、きりがない。お人形が糸を引いていたらしく、「つむぎのため」と言うが。
ハニーとフォーチュンの場面から、プリンセスとジークの場面に切り替わる。
サイアークがデートの邪魔をしてきた。プリンセスはジークを守ってサイアークと戦おうとするが…
ジークがいきなりプリンセスに剣を突きつける。
「つむぎのためだ」
「このドール王国の人形は、みんなつむぎのものだ」
「つむぎがこの国で踊り、笑顔を見せてくれるのなら、ぼくは、どんなことでもする」
「つむぎが幼いころからずっと、ぼくは彼女とともにすごしてきた」
「つむぎはぼくのことを大事にしてくれた」
「いつもそばにおいてくれた」
「ぼくだけじゃない、ドール王国の人形たちも、みんなつむぎのことが大好きなんだ」
「つむぎの踊る姿が、笑顔が」
プリンセス「あのー、ということはもしかして、ジークさまも本当はお人形さんだったりするんでしょうか…」
これはジークのつむぎへの想いの告白であり、彼の最期の場面にもう一度出てくる。
「どんなことでもする」というのは、ブラックファングの手下になってプリキュアを殺すこと。
無力なジークはプリキュアとブラックファングに嫉妬しています。
やってられなくなったプリンセスはジークの前から走り去る。
プリンセスとジークの場面から、ラブリーとつむぎの場面に切り替わる。
スクリーンが降りてきて、つむぎの回想が映される。
つむぎに目をつけたブラックファングの仕業。
友だちがお見舞いに来なくなったのは、ふてくされて顔も向けなかったから。
「友だち」も、自分の思い通りになる子たちのこと。ひとりで不幸だったつむぎは、プリキュアが来てくれることを待っていた。
つむぎちゃん、努力家ではあるんですが…
「これならさみしくないだろう」
「現実で踊れなくてもこのドール王国でなら、おまえは思うぞんぶん踊ることができる」
「ここはおまえのための国だ」
つむぎ「あたしのための国…」
つむぎ「ここが…わたしの居場所…」
「わたしが倒されないかぎり、おまえは踊り続けられるだろう」
つむぎ「えっ?倒されるって?」
「わたしは幻影帝国の幹部、ブラックファング」
「プリキュアの敵だ」
「もしわたしがプリキュアに倒されれば、この王国もともに消滅するだろう」
つむぎ「そんな…」
つむぎ「そんなのいやだ!」
「ここはおまえが踊るためにできた王国」
「おまえ自身がプリキュアからこの国を守るんだ」
つむぎ「わたしのための…国…」
つむぎにとって自分の居場所とは、自分の思い通りになる場所のことだった。足のことを出せば他人が言うなりになっていたのか、自分のわがままを正当化するための理由になっている。
直接には描かれていないが、つむぎはプリキュアを手に入れるため、ジークはプリキュアへの嫉妬心から、積極的にブラックファングの悪事に加担している。
ここでつむぎの回想の上映が終わる。ラブリーはこれを見て、不幸になったつむぎをブラックファングが助けたことを理解した。つむぎから見れば、プリキュアが助けにくるはずが、かわりにブラックファングがきた、ということになる。
「ドール王国は、ブラックファングが、わたしのために作ってくれた、夢の国」
「ここにいれば、わたしは踊れる」
「もう踊れない現実世界なんからないの」
「あたしは、ずっとここにいたい」
「だれにも邪魔はさせない」
つむぎにとって現実世界とは自分の思い通りにならない世界のこと。
つむぎを助けに行かなかった自分を棚に上げて、ブラックファングを非難するラブリー。
「どんな〇だってわたしには関係ない」というのは、プリキュアでもブラックファングでも、自分を助けてくれるほうについていく、という意味。
プリキュアも思い通りにしたいので、帰すつもりはない。
ラブリーとつむぎの場面から、ハニーとフォーチュンの場面に切り替わる。
りぼんとぐらさんがお人形にされてしまった。このあとふたりはラブリーとプリンセスに合流する。
ハニーとフォーチュンの場面から、プリンセスの場面に切り替わる。
プリンセスはひとりで逃げていたが、サイアークに吹っ飛ばされたラブリーを見て助けに飛んで行き、合流する。
プリンセスの場面から、ラブリーとつむぎの場面に切り替わる。
「それ」は、プリキュアを倒してお人形にすること。
つむぎの本当の願いは、ラブリーを思い通りにすることであって、人形にすることではないので、なにも言えない。
ラブリーは、自分たちがお人形になるのはイヤだけど、別の方法でつむぎを助けたい、と言っている。なので助ける方法に心当たりはなにもない。
ラブリーが言うことを聞かないので怒るつむぎ。
ラブリーの回想。足が動かなくて苦しんでるつむぎを、自分の安請け合いで傷つけた、というのはラブリーが考えた理由でしかない。つむぎが傷ついた本当の理由は、ひとりで苦しんでいた(=ものごとや人が思い通りにならない)自分のところにプリキュアがきてくれなかったのに、ラブリーはそんなことは思いもしなかったこと。ラブリーは現実世界のつむぎのことは知らないから無理もないが、彼女の回想の上映を見てもいたわった様子はない。
つむぎはラブリーのことは大好きなので、「なにもできないくせに」は言いすぎたと思った。ひどいことを言うのは悪いことだとはわかっている。
現実世界は思い通りにならないが、この国なら自分の思い通りになる、という意味。
ラブリーはまた無防備なままサイアークに吹っ飛ばされたが、飛んできたプリンセスがキャッチする。
プリンセスがラブリーと合流する。
ラブリーが思い通りにならないので、憎々しい表情を浮かべている。
全員が合流する。チームメイトはラブリーとつむぎの会話を聞いていない。
ジークはつむぎの命令で動いていた。
つむぎはひどいことを言ってしまったと思っているが、ひどいことをしているという自覚はない。ジークはつむぎがラブリーに話した内容は知らない。ここはあとでジークが回想する。
「あたし、バカだった」
「つむぎちゃんは、大好きな踊りをおどることができなくなって、苦しんでた」
「なにもできないのに、助けられないのに、助けたいなんていって、つむぎちゃんを傷つけた!」
ラブリーはチームメイトと合流して避難した。ハニーとフォーチュンはお人形に襲われたので、ジークが主導していることは知っており、つむぎのことも怪しんでいる。プリンセスはジークに襲われた以上のことは知らない。
ラブリーは、ブラックファングの存在を最初に報告するべきところだが、彼女は自分がつむぎを傷つけたことしか言わない。彼女はつむぎに嫌われたことしか頭にないのだ。
場面の切り替えにより、観客はすべて知っているから、ラブリーの言うことは理解できるが、事情を知らないチームメイトには、ラブリーがなにを言っているのかさっぱりわからない。ラブリーはテレビシリーズどおり、人の歓心を買うために戦い、人に嫌われることがなにより怖いメンヘルだ。
ラブリーの訴えとは関係なく励ますプリンセス。
(でもぉ、つむぎちゃんに好きになってもらえる方法がないし…)
(つむぎちゃんに嫌われたままはいや!)
ラブリーの報告は聞くだけムダだと悟ったハニーとフォーチュン。
ラブリーの回想。つむぎにとっては、現実世界はわがままが通じない不幸な場所、ドール王国は自分の思い通りになる幸せな場所のこと。
「わたしは、わたしにいまできることがしたい!」
「つむぎちゃんは、ここが自分の居場所だって言ってた」
「でもそれは違う」
「わたしは、つむぎちゃんを助けたい」
「助けなきゃ!」
ラブリーにとっては、この国は悪いブラックファングが作った悪い場所、現実世界は幸せな場所。ここでいう「助けなきゃ!」は、つむぎをブラックファングのもとから現実世界へ連れて帰ることをいっている。足を治すのと違い、それなら自分にもできそうだし、つむぎの歓心を買えそうなので、あっという間に機嫌を直した。
そうすると、つむぎにドール王国を放棄させる必要があるのだが…
場面がかわってつむぎとジーク。
つむぎがジークに「あたし、ひどいこと言っちゃった」とあやまったのを、彼は、つむぎが悪事に耐えられなくなった、と誤解した。実際は、つむぎはひどいことを言って悪かったとは思っているが、ひどいことをしているという自覚はない。
ブラックファングが割って入る。
つむぎは、ラブリーが自分を助けたいと言ってくれたので、心が揺らいでいる。
プリキュア一行が到着。
ラブリーは最初は正論でつむぎを連れて帰ろうとした。つむぎに悪事を放棄して、現実世界に帰ろうと呼びかけている。しかし、つむぎが100%のハッピーでないのはプリキュアが思い通りにならないからであって、悪事を悔いているからではない。
つむぎは「いっしょに帰ろう」というラブリーの誘いに応じかけた。彼女には悪事を反省する理由はなにもなく、変わったのはラブリーの態度で、現実世界でもつむぎのそばにいてくれると言ってくれた。つむぎにとってはプリキュアのほうがドール王国より大事だ。
しかし、余裕たっぷりだったブラックファングの後ろから現れた大量の糸がプリキュアとつむぎを縛り上げた。
「人間を不幸にするのは簡単だ」
「夢をつぶし、喜びを奪ってしまえばいい」
「踊りたいものを踊れなくすれば、それで不幸になる」
つむぎ「はっ、まさか、あなたがわたしの足を?」
「そのとおり」
「礼を言うぞつむぎ。おまえのおかげでプリキュアをなんなく捕まえられた」
「おまえの不幸が俺の力になる。おまえが不幸になればなるほど俺は強くなるのだ」
「見ろ!おまえが放った不幸のパワーは、想像以上に見事なものだ。これで俺は幻影帝国のクイーンミラージュを超える存在になれる。ハハハハハ」
つむぎ「どうして?どうしてわたしの足を?」
「夢を持って頑張っているものほど、それを失ったときの絶望が大きいからな。見込みどおり、踊れなくなったおまえは、この上もなく不幸になった」
「おまえはマリオネット、俺の意のままに踊る操り人形だ」
つむぎ「だましてたなんてひどい!」
「フン、勝手な。おまえがプリキュアにしたことと同じだろ。自分の勝手な望みのために、プリキュアをだまし、人形どもをコマにした」
「フハハハ、いいぞ、おまえのその怒りが、悲しみが、不幸の糸を紡ぐ」
「いい絶望だ、つむぎ。不幸をつむげ、永遠に」
ブラックファングも勘違いしていますが、つむぎの不幸が増大したのは自分の悪事を反省したからではなく、自分の思い通りにいかないからです。
つむぎはいままで自分のわがままはなんでも聞いてもらえていて、ブラックファングもそうするのが当然だと思っていた。ブラックファングは優しいおじさんから、自分をだました悪い人になった。
ブラックファングに刃向かったジークはあっという間に返り討ちにされ、つむぎはますます不幸になり、世界が不幸の糸で覆われる。
つむぎに「おまえは不幸そのものだ」と言うブラックファングに
「不幸になんかならない!」とタンカを切るラブリー。
ジークが立ち上がり、つむぎへの想いを語る。プリンセスに言ったものとほぼ同じ内容。正真正銘のロリコンです。
「つむぎ」
「きみのおかげで、幸せになった者がいる」
「フフッ。楽しかったことや、おもしろかったこと、いろいろなことを話してくれたね」
「友だちのように」
「きみにとってはなんでもないことだったかもしれない」
「でも、ぼくたちはうれしかったんだよ」
「きみとともに過ごす日々が、本当に幸せだった」
「ぼくら人形はきみから幸せをもらった」
「たとえきみが世界中を忌み嫌ったとしても」
「ぼくはきみが大好きだよ」
「ぼくたちは、心らきみの幸せを願っている」
無力なジークはブラックファングに向かうかわりに、プリンセスを縛る糸を投げつけた剣で切るが、直後にブラックファングに吹っ飛ばされる。
ロリコンのジークはつむぎを独占するという自分の望みのため、プリキュアを犠牲にしようとしていた。
ジークの回想だが、彼はつむぎがラブリーに言った「ひどいこと」の内容は知らず、勝手な思い込みで言っている。
ラブリーはつむぎとサイアークに襲われ、ジークとお人形がプリキュアを襲っていたことを知らないので(そもそも聞かなかったし)、なにが起きているのかわかっていない。プリンセスは単純に泣いている。
ハニーとフォーチュンはお人形に襲われたのでジークが悪だったことを知っており、つむぎがめぐみを連れて行ったのも見ており、ジークの話からも、彼女がボスだと理解した。また、彼がつむぎを愛していることも知り、無力なジークの嫉妬心や、それゆれ自分たちを襲ったことも悟った。
ジークのあとを追い、お人形たちもブラックファングに倒され、消えていった。
ジークが糸に切れ目を入れたためか、プリキュアが気合で引きちぎって脱出した。
なにも知らず、ジークを善だと思っているラブリーが大激怒です。
つむぎはプリンセスの正論に耳を貸す気はない。
ひとしきり戦闘があったが、つむぎは繭に引きこもったままなので、ラブリーが説得に行くため突撃し、新しい糸がラブリーごとつむぎの繭を包む。
「つむぎちゃん、助けに来たよ」
「いっしょに帰ろ」
つむぎ「だって…わたし…」
「つむぎちゃん、ごめん」
「つむぎちゃんを元気づけられること、カッコよく言えたらいいんだけど、どう言えばいいのかわかんないや」
「プリキュアなのにね」
「つむぎちゃんの気持ちもわからないのに、助ける方法もわからないのに、助けるなんて無責任なこと言って、傷つけて」
「ほんとごめん」
「でもわたし、やっぱりつむぎちゃんを助けたい!」
「友だちだから!」
「なに言ってるんだって思われるかもしれないけど、でも、あきらめたくないんだよ!」
「どうにかして、考えて、探して」
「助ける方法を見つけたいんだよ!」
(ラブリー、つむぎの手に自分の手を重ねる)
「あたしひとりじゃ頼りないかもしれないけど、プリンセスたちもいるよ」
「あたしたちみんなが、全力でつむぎちゃんの力になるから!」
(つむぎ、ラブリーの手に自分の手をさらに重ねる)
つむぎ「ごめんなさい」
つむぎ「あたしのほうこそ、自分勝手で、ラブリーに、ひどいこと言っちゃった」
(ラブリー、つむぎを抱きしめる)
「つむぎちゃんと会えて、あたし、うれしかったよ」
「つむぎちゃんの踊りを見て、幸せをもらったよ」
「人形のみんなと同じ」
つむぎ「ラブリー」
「つむぎちゃんは、みんなを不幸になんかしない」
「つむぎちゃんなら、みんなを幸せにできるよ」
「がんばろう、いっしょに」
つむぎ「うん」
ラブリーは、つむぎの不幸の原因は足が動かないことで、つむぎが傷ついたのも自分のの無責任発言のせいだと思っている。そのため「どうにかして、考えて、探して」「助ける方法を見つけたいんだよ!」と、足を治すことばかり考えている。でもラブリーはつむぎに自分を好きになってほしいだけで、本当はつむぎの足のことなどどうでもいいのです。医者がサジを投げた足を、自分たちが治療法を探してどうなるというのか、中学生ならわかるはずです。これはつむぎの歓心を買うための口から出まかせです。つむぎには正論が通じないので、ラブリーも身の振りをかまわなかったのです。
つむぎも反省などしていません。ブラックファングにだまされたとわかり、ジークは死んでしまったので、自分を甘やかしてくれるのがプリキュアだけになった。プリンセスは厳しいことを言うので聞きたくないが、自分のために必死になるラブリーを見て、満足して繭から出る気になった。また、つむぎはここまできても「ひどいこと言っちゃった」ことはあやまるが、拉致して人形にしようとしたことは悪いとは思っていないのであやまらない。
ふたりは友だちになれたように見えるが、対等な関係のはずがなく、つむぎが上、嫌われたくないラブリーが下の、はっきりした上下関係がある。
プリキュアが思い通りになったので、つむぎの不幸が止まり、ラブリーが彼女を連れ戻す。
ブラックファング「つむぎ、たとえプリキュアでもおまえを幸せにはできん」
ブラックファング「踊れないおまえはますます不幸になるだけだ」
「そうだね、踊れないわたしは不幸だとずっと思ってた」
「でも、あたしの幸せを願ってくれる友だちがいる」
「力になってくれる、友だちがいる」
「あたしは、ぜんぜん不幸じゃない」
「だからこんな世界も、いらない!」
念を押しますが、つむぎの不幸とは、他人が思い通りにならないことです。 だから「友だちがいる」というより「プリキュアを手に入れた」という感じ。
人間たちから不幸はいくらでもわいてくるそうです。
プリンセスがラブリーをかばうが
ひとり残ったラブリーは奮闘するが、ミラクルドレスライトの光が、ブラックファングの力で阻まれたですわー!
ラブリーはつむぎと約束したから戦ってるだけで、地球がどうなろうがかまいません。
冒頭の幸せそうな戦いとは対極にある辛い戦いで、とうとうラブリーまで気絶。
ブルー「彼女の友だちを思う心が、不幸を消しているんだ」
友だちを思う心というよりも、つむぎはラブリーに、自分のためにブラックファングを倒せと命令しているようです。
超人気主題歌がかかる。チームメイトも立ち上がる。
スーパーハピネスラブリーに変身し、ポーズもキメたが、不穏な雰囲気が漂いはじめる。
ジークが倒されたときの「もう、怒ったんだから!」からラブリーの怒りが持続しているはずだが、おかしな笑みを浮かべ、やたら好戦的。
妙にあどけない表情のラブリー。善悪を失っている。
自分がプリキュアにひどいことをした、と思い至ったように見えるが、全然そうではない。
プリンセスとハニーの眉が吊り上がる。険しい表情のハニーはあったが、ここまで好戦的な表情のハニーは珍しい。
フォーチュンの眉も吊り上がっている。幸せを通り越して多幸感になっている。
ラブリーの眉も吊り上がる。ふたたび攻撃的なラブリー。
愛というのはつむぎの愛で、あたしたちプリキュアのしあわせというのは、つむぎの下僕になるしあわせのことです。
ブラックファングを浄化する気はまったくありません。そんなにつむぎの下僕になりたいですか…
ブラックファングは断末魔の叫びをあげ、お星さまになってしまう。
好戦的なラブリーが多幸感にあふれ、善悪を失い、怒りにまかせて攻撃性と殺意をむきだしにして戦う。これはしあわせではなく躁病です。めぐみはテレビシリーズでも幻覚に襲われていたし、入院したほうがいいと思います。
「ラブリー」
「いろいろ、ごめんなさい…」
ラブリー「ううん」
「あたしね、踊るのが好き」
「ラブリー、言ってくれたよね。あたしの踊りで、幸せになれたって」
ラブリー「うん!わたしだけじゃないよ、プリンセスも、ハニーも、フォーチュンも、みーんな、幸せハピネス満タンになったよ」
「あたしね、バレリーナになりたい」
ラブリー「バレリーナ?」
「あたしね、ラブリーに幸せをもらったの」
「だから、あたしもだれかのために踊りたい」
「自分のためだけじゃなくて、たくさんの人に、幸せになってもらえたら、うれしいなって」
最後は「いろいろ、ごめんなさい…」ですませてしまい、結局、つむぎが悪事を反省したという描写はどこにもありませんでした。彼女は、不幸な他人をプリキュアのように踊りで幸せにすれば、プリキュアのように自分の言いなりにできるだろうと考えています。プリンセスの講釈に「はっ」としたのはこれのこと。
つむぎに嫌われていないと知ったラブリーは、「みんな幸せハピネスになれたらいいんだけど、難しいなぁ…」と言いつつ、自分だけ満面の笑みです。
ラブリーはつむぎに好きになってもらえたし、つむぎは大好きなラブリーを手に入れました。相思相愛です。
ひめが言うには「ラブストーリーは女の子の夢なのよ!」なので、ラブリーとつむぎはユリなのでしょう。つむぎが上位の。
ところで、最後、つむぎの足の輪っかも壊れ、どう見てもブラックファングは死んでいます。ラブリーは
と言っているので、ブラックファングを〇だと認識しています。三回も念押ししています。彼女はそのうえで彼を消滅させていますから、ラブリーは〇殺しだということになります。